今回の会場3箇所ともそうですが、この弥生町の長屋も函館の古き良き時代を象徴する建物のひとつとして定評のあるものであります。その中で繰り広げられるアート展。背景がきれいで整った美術館やギャラリーとは違った空間を楽しむことができますし、その背景を作家さんがどのように使って表現したかを見るのも大きな楽しみです。

この長屋の大きな特徴は、四方にある防火用の煉瓦塀でしょう。大火に頻繁に襲われていた函館ならではの独特なものです。

建物は一般的な和風住宅ですが、建物の築後年数が年数ですから、あちこちに昭和の初期の痕跡があります。新築できれいな家にはないもの、つまり、建物に染み込んだ歴史を作家さんが自分の作品とマッチングさせるかが大きな見どころです。

まず、幸坂側から入って最初の会場である、石川潤さんの展示場では、何と床に自分の作品を直に描きました。

床に描くとなると、当然時間がかかります。オープニング間際まで連日ほとんど徹夜状態で描き続け、一時は生命の安否も心配された命がけの作品です(すみません、大袈裟でした。ですが、私たちスタッフや今回参加した他の作家さんたちも体の心配をかなりしていたのは事実です)。

でも、床だけではないのです。よくぞここまで描いたという絵が現地に・・・・。それは実際に現地でご覧になってください。圧巻です。

棟続きの隣に入ると、世界が一変します。知る人ぞ知る「なんか洋界」の世界です。ささきようすけさんが持つ、他には類を見ない独特の世界が、あなたを魅了または混乱させるでしょう。

これも一部分だけですみません。でも、ささきさんの作品は、全体で引いて見ても面白いし、このようにひとつものを部分的に見ても面白いから不思議なのです。どうぞ、ワンダーな世界に没頭してみてください。

別棟に移ると、佐竹真紀さんの映像作品が上映される部屋になるのですが、実は昨日からの激しい雨で、家屋の一部が損傷したため、急遽ギャラリー三日月での、大島慶太郎作品との交互上映としました。古い建物ならではのアクシデントですが、天候が良好な時はこの長屋で上映されます。ただし天候によっては会場が変わることもありますので、どうぞご了承ください。

佐竹さんの作品のリポートは、また後日行いますので、楽しみにお待ちください。というより、その前に来てくださいね(笑)。

さて、幸坂から入ると最も奥に位置するのが、飯田竜太さんの作品展示場。これもまた空間を上手に作り上げたといえる作品です。そして、この作品をどの角度から見るかも面白さのひとつ。基本は真正面から(だと思うの)ですが、下から見上げたり、右や左に移動したりして見ると、また別の意味合いを持つ作品に見えてきます。

今回は、現地ではあまり見られない角度である上からのショットをご紹介します。これはカメラを高く持ち上げて撮影したものです。よほどの長身の方でなければ見ることのできない角度です。

もしどうしてもこの角度でご覧になりたいという方がいらっしゃいましたら、係員にお申し付けいただければ、肩車でご覧になっていただけます。但し、体重は15㎏以下とさせていただきます(笑)

もちろん、今のは冗談ですが、空間が表現するニュアンスは角度によって微妙に変わりますので、どうぞその部分も存分にお楽しみください。

 

次回は、同じ弥生町にあるギャラリー三日月の建物と作品をご紹介いたします。

 

(文・写真/ハコトリ実行委員会 前田)